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「自社のお客様は自分たちで守りたい」——その強い信念を持つ企業こそ、適切なアウトソーシングが必要な時がある。 年間約1,000棟の住宅を供給し、中四国から全国へとエリアを拡大するライフデザイン・カバヤ株式会社。同社が供給増に伴う「アフターメンテナンスの肥大化」という課題に対し、なぜワランティテクノロジーをパートナーに選んだのか。 単なる業務代行ではない、「ブランド価値を守るための戦略的提携」について、同社・執行役員の朝原(あさはら)氏と、現場を統括する高橋(たかはし)氏に話を伺った。
1. 年間1,000棟増。限界を迎えていた「自前主義」
—— ワランティテクノロジーの導入検討を開始された2019年当時、どのような課題を抱えていましたか。
朝原氏: 最大の課題は、年間約1,000棟という供給ペースに対し、アフターメンテナンス体制の構築が追いつかなくなっていたことです。住宅は引き渡して終わりではなく、そこから数十年のお付き合いが始まります。つまり、毎年1,000件ずつ管理対象が純増していくのです。 これに対し、専門知識を持つアフター要員を比例して増やし続けることは、採用難易度や人件費の観点から現実的ではありませんでした。「少数精鋭の自社スタッフ」で質を維持するためには、外部リソースの活用が不可欠だったのです。
—— 競合他社の動きも影響していましたか。
朝原氏: はい。当時は家電量販店などが「10年保証」を打ち出し始め、住宅業界でもメーカー保証(1〜2年)以上の長期保証が求められるようになっていました。 給湯器やキッチンなどの設備機器は、メーカー保証が切れた後の7〜10年目頃に故障リスクが高まります。営業現場からは「お客様から『カバヤさんには10年保証はないの?』と聞かれ、答えに窮する」「保証が武器になっている他社に負けてしまう」という切実な声が上がっていました。「守り(メンテナンス)」だけでなく、「攻め(受注のための武器)」としての保証制度構築が急務となっていたのです。
2. 決め手は「広域対応力」。全国展開のインフラとして
—— 多くの保証会社の中で、なぜワランティテクノロジーを選んだのでしょうか。
朝原氏: 大手ハウスメーカーでの導入実績という信頼性はもちろんですが、決定打となったのは「広域エリアへの対応力」です。 当社は現在、岡山から四国、兵庫、九州へとエリアを拡大しています。進出したばかりの地域に、最初からアフター要員を常駐させるのはコストリスクが高すぎます。仕事量が読めない中で人を雇えば、固定費だけが嵩んでしまう。
高橋氏: その点、ワランティテクノロジーの全国ネットワークを活用すれば、当社の社員がいないエリアでも一定品質のアフターサービスが提供できます。また、業務量に応じたコストで運用できるため、経営的なリスクヘッジにもなる。これは、私たちが全国展開を進める上での必須の「インフラ」となっています。
—— 具体的な導入効果として、現場の負担軽減は実感されていますか?
朝原氏: 現場の負担軽減効果は非常に大きいです。特に設備機器の不具合に関する一次対応を一任できたことで、社内のアフター部門への入電数は導入前と比較して大幅に抑制されました。 万が一、当社で対応が必要な場合でも連携フローが確立されているため、スムーズに引き継げます。これにより、自社社員は「構造に関わる重要な点検」や「お客様への提案」といった、より専門性が高く、顧客満足に直結するコア業務に集中できるようになりました。
【役割分担のイメージ】 設備トラブル・一次受付 ➡ ワランティテクノロジー(24時間365日受付対応などによる迅速化) 定期点検・構造対応 ➡ ライフデザイン・カバヤ(社員が直接訪問し、深い信頼関係を構築) ※この分業により、迅速なレスポンスと専門的な対応の両立を実現。
3. 「理念」なき提携は失敗する。パートナーシップの本質
—— 導入当初、社内やお客様からの抵抗感はありませんでしたか。
朝原氏: 正直、「自分たちのお客様は自分たちで守りたい」という葛藤はありました。特に当社の社員は、自分たちで育てたブランドへの誇りが強い。だからこそ、「知らない協力会社がお客様のところへ行って、不手際があったらどうするんだ」という不安の声は根強くありました。 しかし、「儲からないからアウトソースする」という丸投げのスタンスでは失敗します。過去には、質の低い協力会社に任せてしまい、クレームに繋がった苦い経験もありました。 だからこそ今回は、「カバヤの基準」を明確にし、ワランティテクノロジーさんに共有・管理・指導できる関係性を築くことに注力しました。協力会社のスタッフも含め、お客様の前では「カバヤの顔」として振る舞ってもらう。この「顔が見えるパートナーシップ」があるからこそ、現在は多くの社員がこの体制をポジティブに受け入れています。
—— 成功の鍵はどこにあるとお考えですか?
朝原氏: 最も重要なのは、「自社のお客様は自分たちでお守りする」という確固たる経営方針があるかどうかです。 アフターメンテナンスは、新築時の契約と違って利益を生みにくい部門です。「儲からないからアウトソースして手放す」という発想では、絶対にうまくいきません。 我々の方針と基準があり、それをパートナーであるワランティテクノロジーさんに共有し、管理・指導できる関係性があるからこそ、ブランド価値を守ることができるのです。
—— 「丸投げ」ではなく、あくまで「協業」であると。
朝原氏: そうです。現場に行かれる協力会社の方の教育も含め、ワランティテクノロジーさんには「カバヤの顔」として動いてもらわなければなりません。だからこそ、我々は「顔が見えるパートナーシップ」を求めています。単なるシステム上の繋がりではなく、泥臭い信頼関係がなければ、お客様の人生を預かる住宅事業は務まりません。
4. 未来への展望:あえての「4.5点」。共に進化し続けるために
—— 今後の展望と、パートナーとしての評価をお聞かせください。
朝原氏: 新たな取り組みとして、ワランティテクノロジーさんから提案いただいた「AIチャット」の導入を進めています。これにより、お客様の問い合わせハードルを下げつつ、さらなる工数削減を目指します。 また、福岡エリアでは、保証対象外の軽微な修繕(一般受付)まで踏み込んだ協業トライアルを開始しました。不規則で柔軟性が求められるこの領域まで踏み込んでくれるパートナーは希少であり、これが軌道に乗れば、アウトソーシングの領域はさらに進化すると確信しています。
高橋氏: 現場を統括する立場として、評価は厳しめに「3.5点」と言っておきましょうか(笑)。一次対応には感謝していますが、もっと前のめりに「次はこれをやりましょう」という提案が欲しい。それだけ期待が大きいということです。
朝原氏: 私は「4.5点」とさせていただきます。あえて満点をつけないのは、「現状維持で満足してほしくない」というメッセージです。縮小する新築市場において、アフターサービスの充実は企業の生命線です。常に我々の期待を超え、共に進化し続けるパートナーであり続けてほしいと願っています。
■ インタビューを終えて:「人生を、デザインする。」ための共創
「アフターを真剣にやらない会社は生き残れない」。朝原氏の言葉は、成長企業が抱える「拡大と品質維持」というジレンマの核心を突いていると言えるでしょう。
同社にとってワランティテクノロジーは、単なる代行協力会社という枠を超えた存在のようです。攻めの経営を支える「兵站(へいたん)」であり、ブランドを守る「盾」。その機能こそが、戦略的な“インフラ”としてエリア拡大を支えていることが窺えます。 「理念なきアウトソースは無意味」。この言葉は、互いに期待値(4.5点)を超えようとする両社の関係が、ビジネスライクな契約を超えた「真のパートナーシップ」であることを物語っています。
